大連医科大学付属病院研修 〜 久保大輔

●いざ出発

  日本で最も遅くやってきた夏を尻目に、2005年8月1日、期待と不安を胸に釧路から中国・大連へ向かいました。学生時代から何度も本場の鍼灸をこの目で見たいと思っていたので、貪欲に何事でも吸収してくるぞという気持ちで一杯でした。

  そんな想いを胸に空港を降り、中国の地に立った最初の感想は「なんてエネルギーにあふれているんだろう!」でした。人の波、車の流れがスゴクて、圧倒されましたが、なにか古き良き時代の日本にいるような感じでスムーズに溶け込めることができました。

●研修日記

大連医科大学付属病院
大連医科大学付属病院

  大連でも1・2番を争う総合病院の大連医科大学付属病院が今回私が研修に入る病院ですが、ガラス張りで8階建のビルは想像していた中国の病院を180度覆すものでした。院内もきれいに整備され、日本の病院となんら変わらないものでした。

  午前は外来を、午後は外来と病棟という流れで、本格的な研修が始まりました。患者さんは朝一番からひっきりなしに訪れ、慢性疾患から高熱を出している人・顔面神経麻痺・円形脱毛症・帯状疱疹などなど日本ではあまりお目にかかれない疾患ばかりでした(なかにはしゃっくりが2・3年止まらないという患者もいてビックリ!)。中国では中国鍼と言って長さが10センチ、太さも日本ものよりずっと太いもの物を使うのが当たり前で、先生は次々と鍼を刺していきました。患者さんも痛みは多少あるのだろうけど、早く治るならという心構えでジッと我慢している感じ。 杏園堂鍼灸院でも使っているプハン(中国ではバカンといいます)
久保
自血療法
も必ず鍼の後に行い、やはりプハンはどこでも受け入れられているんだなと感心しました。

  色々と多岐にわたる疾患を目にしましたが、なかでもじん麻疹に対する療法は驚き!自血療法といってまずはじめに患者の腕から血液を採取し、それをすぐに背中のつぼに刺し戻すのです。この方法はもちろん中国オリジナルのもので、日本では鍼灸師が行うことはできませんが、アレルギー疾患にも効果があるので大変興味を持ちました。

●中国の鍼灸事情

  今日の中国鍼灸の潮流は、鍼法派と穴法派に大別できるようです。鍼法派は単に鍼の刺し方の技や手法を重視し、かたや穴法派はどの疾患にはどのツボを使うかというように患者一人一人に合った方法を重視するものです。やはり中国でも会得が難しい穴法派は敬遠され、鍼法派が多いようですが、先生も言っていたように穴法派のほうが患者にとって最良の方法ではないかとのことです。この点からも杏園堂鍼灸院が行っている方法は患者さんにとってベストなんだなと確信できました。

  また先生のこの言葉も印象的でした。近年、近代化・西洋化の波が激しい中国は医療の現場も同じようです。昔のように中国伝統の東洋医学は隅に追いやられ、何でもかんでも薬に頼る西洋医学に皆足を運ぶ。このままではあっという間に中国もアメリカや日本ように病院で病気になってしまうと。今後は西洋医学と東洋医学の良い点を融合したワイドな総合医学が必要になる!という考えには私も同感でした。

●帰路の途に

久保
研修した鍼灸科の前にて

  今回は研修をメインに行ってきましたが、休みの日は友人とサッカーをしたり、終戦日が近いということもあり将来の日中関係について語り合ったり、実に中身の濃い2週間でした。もちろんオイシイ中国料理を頂いたり、ショッピングしたり、せっかくなので中国鍼灸やマッサージも体験してきました。そして今回思ったのが、まだまだ自分の見ている世界は狭いなということ。あの大きな中国の大地に立つと、もっともっと鍼灸の技術を磨いて世界に挑戦していかなくてはと、良い刺激を受けました。

  今後は今回の経験を活かして一歩一歩前進していき、多くの患者さんに喜びを与え、そして自分もそこから喜びを感じられるようガンバッテいこうと心に誓いました。



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