「年齢別による視力回復の効果」

2001年(社)全日本鍼灸学会大阪大会発表

《はじめに》

 我々は前回の全日本鍼灸神戸大会において、「同経遠位穴による視力回復の効果」と題して報告した。その中で、400人・780眼の視力回復について分析した。
 治療前と治療後の視力変化をt検定をして、統計処理すると有意水準0.5%で、治療開始時視力0.22から治療終了時視力0.44に、平均で0.22の視力向上を認めた。そこで、今回はそれを年齢別に比較検討してみることにした。

《対象》

 対象は1991年から2000年4月までの9年間で、視力回復を目的に当院に治療にきて、10回の治療をしたすべての400人(男174名、女226名。4歳から76歳、平均年齢は19.7歳)。対象眼は0.01から0.9の視力範囲で正常視力以下とした。そのため対象眼は780眼とした。

 新和精工製電工投影式視力検査機SK-8Aを使用し、治療前後に視力を測定した。屈折度測定はしていないので、近視の程度は不明です。

 なお近視の程度は、-3D以下を軽度近視(視力0.1前後)、-3Dから-6Dを中等度近視(視力0.04から0.1前後)、-6D以上を高度近視(視力0.04未満)と分類されている。
 それに照らし合わせると今回の対象者は、軽度近視(572眼・73%)、中等度近視(119眼・15%)、高度近視(89眼・12%)の割合であった。

《方法》

 治療は目の周囲の圧痛点を捜し、その同じ経絡上の反応点に刺鍼。さらに全体療法も重要なので、腹部と背部の圧痛も調べ、治療点に刺鍼し、圧痛を取り除く。鍼はセイリン社製40ミリ・16号鍼(1寸3分−1番)を使用。横刺で浅刺。20分間の置鍼。
また補助的に耳穴圧迫法(目1、目2、眼点、神門に王不留行の種を貼る)、温灸治療(腹部の反応点に15分)をし、さらに目の体操を1日3回するように指導。一週間に2回から4回の間隔で治療し、10回の治療を1クールとする。視力は必ず治療前後に測定し経過を観察した。

《結果》

  初期視力   治療後  
小学生以下 0.26 0.51 0.25の向上
中高生 0.19 0.42 0.23の向上
成人 0.16 0.31 0.15の向上
老人 0.36 0.61 0.25の向上

《結語》

 視力低下を訴える患者、400名に対し、鍼灸治療をおこなった。
どの世代においても、有意水準0.5%で視力の回復が認められたが、年齢による差は観察できなかった。

《考察》

 前回の報告では、治療前の視力が高いほど、回復率がよくなったことが認められた。以上のことから、視力回復は年齢が高いからとあきらめる事なく、あまり視力低下のすすまない初期のうちに、治療をすることが、治療効果を高めるといえる。

《備考》

◎目の体操法の紹介
  吉川正子、須藤隆昭 壮快6月号 マキノ出版 2001

(一部抜粋。この論文の無断転載を禁じます)

研究発表目次へ