患「触るだけで辛いところがわかるのってすごいですねー」
高「脈だけでもいろんなことがわかるんですよ。
昔は脈だけで妊娠しているかもわかったらしいです。」
患「じゃあ、指先の感覚を大切にしないといけないのね~」
という会話を最近治療中にしました。
今日はそのことにもまつわる、鍼灸はどうやって治療ポイントをみつけるのか?
についてお伝えします。
鍼灸の診断治療は、
主に鍼灸師の五感によって進められます。
五感とは、目で見て、耳で聞き、鼻で嗅ぎ、
肌で感じ、舌で舐める事ですが、
診療の場合は、さすがに舌で舐める事はありませんから(笑)
五感のうちの4つをフル活用することになります。
これを東洋医学では四診法と呼んでいます。
四診とは、
目で見て行う望診
鼻と耳による聞診
患者さんの訴えを聞いて、診断の材料とする問診
そして鍼灸師が直接患者さんの体に触れて診療する接診
の4つです。
診察はこのように4つの方法に大別されます。
鍼灸治療は、四診により局所にとらわれず、
体全体を注意深く観察して、
患者さんの全体像を把握し、それから
病気の本質、体調の歪みの程度を診断して
治療にかかります。
同じ病名の患者さんでも、痛みの感じ方も
反応もそれぞれに違います。
例えば、仮に、同じ痛みの腰痛患者が2人いたとします。
1人はとても痛いと感じ、
もう1人は少し痛いと感じるかもしれません。
感覚や体質は、個人によって大きく変わってきます。
ですから、この2人に同じ治療をしても
結果は違ってきてしまいます。
また、腰痛の原因にしても、腰が痛いから、
腰が悪いとは言えないのです。
内臓の病気から腰にくる場合もありますし、
単に体調を壊して疲労の溜まっていた腰に
痛みが走る場合だってあるのです。
鍼灸治療では、このような原因を探りながら、
一人ひとりの治療を行っています。
言い換えれば、病名だけでは判断しないと言うことです。
鍼灸治療は、四診法によって患者さんの特徴をつかみ、
体全体の不調を整えることにより、
体自身が病気を治そうとする力を手助けするわけです。
野生動物は怪我や病気の時、
薬など使わなくても、自分の体力で直してしまうではありませんか。
人間だって基本的には同じです。
生まれつき、体の働きを調整する能力を持ち合わせています。
鍼や灸、漢方療法など東洋医学は、
この人間の本質的働きを研究、開発して発展してきた医学なのです。
東洋医学には、3000年以上にも渡り長く、そして堂々たる歴史があります。
人間の知恵が脈々と流れています。
今までは、なんとなく古臭いものと思われがちでしたが、
人間性を重視した考え方や鍼灸、
漢方の実際の効果が認められるにつれ、
医学会は今家東洋医学をいかに学かと言う時代に進んでいるようです。