旅する鍼灸院
「何故この本を出版したのか」
いつか本を書きたいとの思いはありましたが、コロナのおかげで2020年春から自分の時間が増え、3ヶ月で一気に書き上げました。
鍼灸は世界で広まりつつあるのに日本での受療率は低下している。この現状をなんとか変えたいと思っていましたが、地域で啓発活動を続けていても思うようには成果が出ない。そこで今までの鍼灸本とは違う新しい本を出したいと思ったのが出発点です。
もうひとつは「あんずの種」という一風変わった鍼灸院がなぜ出来て、なにをしようとしているのか紹介することによって、技術や知識というもの以外に大事ものがあるということ感じて欲しかった。それは会社にとっての理念であったり自分にとっての使命のようなもの。。そんなことを考えるきっかけになってくれると嬉しいと思ったからです。
「この本で伝えたかったこと」
一つ目は「鍼灸の可能性は凄い」ということ。目の前で師匠の奇跡のような治療を見てきたことや、私自身が延べ20万人に鍼をうち、その変化を見ていることで鍼灸治療には未知なる可能性にあふれていると実感しています。ただそれがまだまだ一般には認知されていないです。国民にも鍼灸師や学生にもこの事実を知って欲しいと思っています。
2つ目は「旅は保健室である」ということ。鍼灸は国民の健康に大きく寄与できることは間違いないのですが、旅自体も人の心身を健康にします。これも私自身の体調不良を旅で回復した例や世界各地のパワースポットを巡ったことから確信しました。旅行費用を健康保険で一部負担してほしいくらいです(笑)。
3つ目は「旅は学校である」ということ。マルコポーロと同じように、私も大事なことはみんな旅から学びました。世界の風土や歴史は勿論、人との関わり方やコミュニケーションの取り方も。でも旅でのトラブルをたくさん経験したことから、「自分の道を進めば、なんとかなる」という思想というか哲学のようなものを持てるようになったことが一番の学びでした。そして人生や仕事の転換期で、大事なことを閃くのもいつも旅先でした。
「あとは本が勝手に旅する」
この本を出したおかげで新しい広がりが増えました。ケニアや宮古島を好きな人がサロンを訪れてくれた。本を読んだ鍼灸学生がわざわざ釧路や宮古島に来てくれた。ブックトークの会を開いてもらい、新しい人との出会いがぐっと増えました。
発行されたらすでに著者の手を離れ、あとは本が勝手に旅をしているようだ。
「ゆうぜんとしてほろ酔えば雑草そよぐ」(山頭火)の気分です。