精油成分には、
リラックス効果が高く、
その香りの良さから化粧品や香水などの
香料として大変需要のある「リナロール」
という成分があります。
ゼラニウム・ネロリ・ラベンダー・
イランイラン・ローズウッドなど、
華やかでほっと安心するようなお花の優しい香りが特徴で、
天然のリナロールは、とても合成にはかなわない
複雑かつ、繊細な香りだと言われています。
そのリナロールを主成分としているもうひとつの精油が実は、
「クロモジ」です!
木から採取するのに、花の成分の香りがするとはなんとも意外ですよね!
リナロールの他にも、
ゲラニオールやネロリドールといった
やはりお花香りの成分と
α-ピネン、1.8シネオールなどの
木の香り成分も含まれているので、
それだけにクロモジひとつで多様な香りがします。
さらに抗菌テストでは、大腸菌、サルモネラ菌、黒カビ菌をはねのけることがわかっています。
かつて日本の一部では、クロモジを歯ブラシとして使っていたそうです。
現在でも高級楊枝に使われていますが、
茶道とクロモジの歴史は古いです。
決断力はあるがどちらかといえば急ぎがちの秀吉に、
これはつい先ほど小刀で庭先から取ってきたばかりのもので、
とクロモジの楊枝を添えた和菓子を
ゆっくりと勧める利休。
クロモジは新鮮なものだと、ことのほか香りが高く、
鎮静作用や免疫効果、抗菌効果まであることを
利休は五感で感じ取っていたことでしょう。
二畳半しかない待庵の茶室は、
お茶、お香の他に空間すべてを五感で感じ取れるように整えるには適度な広さであるとも言えますよね。
クロモジは、秀吉の心を鎮める一役を担う
重要な香りであったことでしょう。
和菓子も季節や歴史を感じとるように頂きたいですし、
楊枝の香りもしっかり味わうことを改める次第です。
高橋千香子
最新記事 by 高橋千香子 (全て見る)
- 新しい目標 - 2024年8月14日
- あんずの種とアロマとの出会い - 2024年8月4日
- 炭酸パックの効果 - 2024年8月1日